近年、「お墓が遠方にある」「お墓を継ぐ人がいない」「将来の管理が不安」といった理由から、改葬(お墓の引越し)を検討される方が増えています。
改葬は、感情面・宗教面・法律面・行政手続きが複雑に絡むため、正しい手順を踏まないとトラブルになりやすいのも事実です。
ここでは、お墓の手続き専門の行政書士 川本事務所が、改葬の全体像と具体的な手順を順番に解説します。
家族・親族の同意を得る
お墓は相続財産ではなく、「祭祀財産」(さいしざいさん)とされます。
「祭祀財産」に相当するものとしては、「お墓」「仏壇」「家系図」などがあります。
その承継者が祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)です。
分かりやすく言うと、
「お墓や仏壇など先祖供養のための財産を引き継ぐ人」にあたります。
墓地に関していうと、
「墓地の使用者」として「名義人」になっている人とも言えます。
法律上は、この祭祀承継者が改葬(お墓の引越し)を決めることができますが、
お墓には多くの親族の思いが関係しています。
親族の同意を得ずに改葬を進めると、
後々、親族間の深刻なトラブルに発展するケースも少なくありません。
👉 改葬を考え始めたら、まずは親族への説明と合意形成が最優先です。

改葬(お墓の引越し)先を決める
親族の同意が得られたら、次に行うのが改葬先の検討です。
主な改葬先の選択肢には、以下があります。
- 一般のお墓
- 永代供養墓
- 森林葬
- 納骨堂
改葬先と契約を交わすと、「受入証明書」をもらいます。 - また、近年は
海洋散骨という選択肢を選ばれる方も増えています。

宗教・管理体制・費用・将来の承継者の有無などを総合的に検討し、ご家族に合った改葬先を選ぶことが大切です。
改葬許可申請書の入手と役所への手続き内容を確認する
改葬には、改葬元を管轄する市区町村の役場が発行する
**「改葬許可申請書」**が必要です。
- フォームは役所ごとに異なります
- 多くの自治体ではインターネットからも取得可能です
「改葬許可申請書」を入手すると同時に役所ごとにローカルルールがありますので、
事前に必要書類や流れを確認しておくことが重要です。

改葬元(元のお墓)の管理者の同意を得る
・寺院墓地の場合
ご住職に事情を説明し、改葬の了承を得ます。
檀家になっている場合は離檀となります。
※この際、高額な離檀料を請求されるケースもありますので、事前の相談が重要です。
了承を得ると、埋葬証明書を発行してもらいます。
・霊園の場合
霊園管理者の了承を得て墓地返還届を提出し、寺院と同じように
埋葬証明書を発行してもらいます。
ご遺骨の数を確認する
お墓に納められているご遺骨の数が明確であれば問題ありません。
しかし、
- 先祖代々のお墓
- 古くから使われているお墓
などの場合、実際のご遺骨の数が不明確なことも多くあります。
その場合は、改葬前に一度お墓を開けて確認することを推奨します。
後から数が合わず、手続きが止まるケースもあるためです。
石材店を決める
現在のお墓を撤去する石材店を選定します。改葬元によってルールが異なります。
- 公共霊園:石材店は自由に選べる
- 寺院墓地・民間霊園:指定石材店がある場合が多い
特に改葬元の墓石撤去だけでなく、改葬先での新墓建立がある場合は、スケジューリングが難しいため早めの相談がおすすめです。
役所へ改葬許可申請を行う
改葬許可申請書に必要事項を記入し、
- 改葬元の「埋葬証明書」
- 改葬先の「受入証明書」
を添付して役所へ提出します。
※「埋葬証明書」は、「改葬許可申請書」にセットされていることが多いです。
自治体によっては追加資料を求められることも多いです。
特に多いのが、申請者と改葬されるご遺骨の方との関係を証明する書類です。
許可は、即日〜1週間程度で下りるのが一般的です。
許可が下りたら、「改葬許可証」が発行されます。

関係者との日程調整
以下の関係者と日程調整を行います。
- 改葬元(現在のお墓)の管理者
- 改葬先の管理者
- 改葬元の墓じまいを行う石材店
- 改葬先に新しいお墓を建てる場合は、その石材店
特にお坊さんの法要(御魂抜き・御魂入れ)の日程は調整に時間がかかるため、余裕を持って進めましょう。
御魂抜き法要・遺骨の取り出し
現在のお墓で、
- 御魂抜き法要(閉眼法要)
を行います。
お坊さんに来ていただき、墓石に宿る魂を抜く儀式です。
その後、ご遺骨を丁寧に取り出します。
改葬先へ納骨する
改葬先へ「改葬許可証」を提出し、納骨を行います。
新しくお墓を建立した場合は、
- 御魂入れ法要(開眼法要)
を行い、新しいお墓に魂をお迎えします。
元のお墓を撤去し更地に戻す
元のお墓を撤去し、更地に戻します。
この作業は、通常、石材店がご遺骨を取り出した当日または後日行います。
墓地管理者へ返還することで、正式に墓地使用が終了します。

改葬の完了
以上で、改葬(お墓の引越し)は完了です。
改葬は
- 親族関係
- 宗教的配慮
- 行政手続き
すべてを丁寧に進めることが大切です。
川本事務所では、
改葬に関するご相談から役所手続き、関係先との連絡、スケジューリング調整、現地立会までトータルでサポートしております。
不安や疑問があれば、お気軽にご相談ください。

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